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日本の庭

造園の種類 門・瓦葺き・銅葺き・柿葺き

洋風の庭家を建てますと、人は門を構え、塀をつくります。自分たちの生活や財産を守るために人の出入りをチェックしたり、制限するためです。古来の城や屋敷の名残です。実際の役割と同時に、門は、地境、境界を明確にする意味もあります。
他家を訪問したときに、最初に目につくのは門です。門まわりの様子が、住人の生活ぶりや文化度、教養を感じさせますので、その決定はおろそかにできません。十分に使い勝手も計算されたうえで、設計したいものです。最近の住宅は、門まわりにポスト、インターホン、門灯、表札なども取り付けられます。これら小物アクセサリーも巧みにレイアウトしませんと、メチャメチャなものになってしまいますので、これらも十分に考慮して、門や塀の高さ、幅を決めてゆきます。
また、最近では街全体を統一イメージでデザインする例も増えています。街の雰囲気を考慮に入れることです。

瓦葺きの門

長い歴史に裏打ちされた匠の美が、大きさと重厚さを表現
瓦を葺く門には、腕木門、長屋門、数奇屋門などがあります。なかには銅版との組み合わせによる腰葺きにしてあるものもあります。瓦葺きは長い歴史があり、その意匠も工法も多様多種です。
瓦自体は使う箇所によってそれぞれの役割があり、その種類も多く、ひとつの屋根を葺くにも高度の技術と熟練とが必要とされます。瓦の品質とか色は地域によって異なります。とくに雪の多い地方では耐寒性と強度が問題になり、塀とのデザイン・バランスが求められます。門前を広くとって大きさと広がりを演出したいものです。

ケヤキづくりの腕木門。袖は塗り壁で格式を示している。透かし戸が重さを和らげている。 武家の門をしのばせる豪華な腕木門。日本の歴史と伝統を現代に伝えているのがうれしい。
一文字瓦を葺いた全体の構成がすばらしい数奇屋門。切石と塀とのバランスもよい。 財力と権力を象徴するようなつくりの長屋門。石積みをした上に壮大にその姿を見せている。 建物と門の接点が巧妙に処理され、独立した門をつくるより幅と奥行きが出ている。
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銅葺きの門

軽快で粋な仕上がり 軒先線をスッキリと美しく演出する
銅葺きは、屋根を軽快かつ粋に仕上たいときにする方法で、主に数奇屋門に採用されます。棟に「冠瓦」や「素丸瓦」を使うケースと銅版を使うケースがあり、いずれにしても「瓦」の重い感じを取り除いて、趣のある門まわりづくりに大きな役割を果たします。

編笠門の型を模してむくりをつけた洒落た門。丸太を使った袖の垣が軽やかさを強調。 和風の落ち着きのなかに軽快さを表現。両袖を低く抑えた処理がいっそう効果的だ。
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銅・瓦葺きの門

銅板と瓦の配分に気を配り、数奇屋建築の軽やかさを愉しむ
数奇屋建築の屋根は、銅板と瓦の組み合わせのものが多いようです。数奇屋建築は、瀟洒で軽やかにつくるところにありますから、全部を瓦で葺くと重い感じがしますし、また軒先の線を美しく出すためにも瓦と銅板の組み合わせで、「やっこ」に葺くようになります。門についても同じです。この葺きの呼び方にはいろいろあり、「やっこ」に葺くから「やっこ葺き」「額縁葺き」「腰葺き」「さらし葺き」などと呼ばれ、美しく仕上るには屋根の大きさや形によって銅板と瓦の比率などに神経を遣います。

高台の住まいの入り口として格子戸で内部の階段や景色を見せる。広がりを与えるつくりだ。
門のまわりの植栽や階段の構成が落ち着いた雰囲気をつくりだし、風情のある演出である。
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柿葺きの門

失われてゆく伝統の美 その優雅な感触を取り入れる
柿葺きは、「トントン葺き」とも呼ばれ、瓦が使われる前からある屋根の葺き方です。材料はサラワや杉の木材を薄く割った柿板を使います。柿板を竹釘で止めながら幾重にも重ねて葺いていきます。葺き上げた姿はまことに優美です。同じ技法で檜皮葺きがあります。檜の皮を使って葺いていきます。現在は消防法の規制、材料の不足や職人がいなくなったため、なかなかこの技法を新規に発揮するには難しい事情があります。一般の家庭では、庭門に杉皮を葺くくらいが柿葺きの感触を得られる限界ではないでしょうか。

本格的な柿葺き。技術の伝統を見るような例である。生垣をもう少し何とかしたい。 かつては武家屋敷が並んでいたであろう城下町でみつけた門。簡素なつくりのなかに主張が見られる。
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庭門

庭園を風雅に彩る粋な添景物 「庭の趣」に合わせた仕上げを
庭門は庭園の侘びた風雅な味の添景物として用いられます。本来は、茶庭の内露地と外露地の見切りとして設けられるのが、「中門」であり、庭や露地の入り口に設けられて中門よりはもう少しキチンとした門を「露地門」あるいは「庭門」と呼びます。現在では総称して庭門と呼んでいますが、茶の世界では正しく中門と呼んでいます。梅軒門、萱門、竹葺き門、編笠門は屋根付きの門で、枝折戸、揚簀戸、猿戸などが簡素な門です。梅軒門形式のものが多く採用されてますが、どのような仕上がりにするかは庭の趣に合わせて選びます。

庭門としてはたいへん格式がある編笠門。屋根細部の曲線を出す工夫が造形的にもおもしろい。 練塀とのバランスもよく、全体の杉木立のなかに溶け込んでいる。"わび"の極致ともいえる作品。
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その他の門

住まう人の内面を映し出す門 デザイン決定は注意深く
茶の世界では、1個の石、1本の竹で結界をつくり、精神的な門とする約束事があります。お互いの暗黙の了解のうえに成り立っている約束事です。1本のチェーンやロープでプライバシーを守るのと同じ意味です。門は権威や富の象徴であり、拒絶と同時に広く受け入れる役目もあります。矛盾しているようですが、大きな門の前に立つととくにそのような印象を受けます。門の意匠は、住む人の趣味や教養の程度すら表現します。街の雰囲気づくりのひとつの要素にもなりますから、全体の構成も含めて注意深くつくっていきたいものです。

技術の確かさが表れている丹波石の小端積み門柱。石のバランスが個性を示している。 冠木門。武家や医者の家に使われた。実に素朴で力強く、身の引き締まる感じがする。 和洋折衷の門。昨今は、ライフスタイルや考え方にも折衷が多い。だから今後この種の門が増えるかもしれない。
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一級造園技能士。日本庭園協会理事、日本庭園研究会理事、日本造園学会会員
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